ヒューマン・リレーションで介護保険が心掛けてきたことといえば、せいぜい人と話をする場合、とりわけ民間の重要人物の場合、その人がいま何に関心を持っているか、得意なものは何か、趣味は何かを知って、話題をそちらに持っていく、存分に相手にしゃべってもらうことぐらいであろう。
この方法は予期以上の効果のあることを身をもって体験してきたので、大いに省内の若い人たちにも奨めている。
ある介護観光タクシーの社長さん、ホームヘルパー2級の資格を持っていて、移動のお手伝いもしている、とのことだった。
いつも猛烈に忙しい人で、来客との面会時間も10分刻みという。
その人に一度、京都の話を聞いたら、こちらの聞く態度がよかったのか、秘書が3回も次のアポイントの催促に来るのをさえぎって、40分以上も機嫌よくしゃべってくれたのを思い出す。
京都では「夜間特別拝観」が増えてきて、出張の機会に「夜の京都」を見てみては如何ですか?と誘われた、とこの話を多少得意気に披露したら、くだんの代議士のお嬢さんは「そんなこと常識じゃございませんこと」とにベもなくいったものだ。
さすが政治家稼業は秘書まで常識が発達している。
世間の常識に通じていなければ政治家はつとまらないだろう。
役人の常識と世間の常識のギャップを知ると同時に、役人はいかに訓練されていないかを痛感した。
役人はそれでも勤まる稼業だから、ある意味でハッピーといえるかも知れないが、半面、いわゆる欠陥人間になり易いともいえる。
これはぜひ各自が自己啓発によって改善しなければならない面である。