特別会計制度とペーパレス計画の導入という大改革であるから、どうしても庁内のコンセンサスがいる。
時間はどんどんたっていくという具合である。
幸い一年近くコンセンサス形成に費して、ようやく間に合ったが、自分としては当初から不退転の決断をしていたから、うまく行ったのだと思う。
長官時代、逆にボトムアップ奨励の施策として考えて実行に移せなかったものに、QC制度の導入がある。
すなわち、QCの導入によって、ボトムアップによる庁内の活性化を考えたわけである。
残念ながら介護保険の提案は労働組合が受け入れるに至らず、時間切れとなって幻の提案となった。
この過程を通じて体験したことは、トップの優柔不断と並んで現状改革を妨害するのが、中間管理層の抵抗である。
「これまでこうやってきた」というのが、中間管理層の権威の基であり、拠って立つトリデなのだ。
現状を根本的に改革することは、この唯一のトリデを失うことを意味する。
理屈抜きで本能的に抵抗するわけである。
そのための理屈はいかようにもつけられる。
「制度の安定性が大切であり、法律改正は極めて慎重でなければいけない」などと。