介護タクシーの最近のブログ記事
仏教の本を手当たり次第に読み始めたのは、たまたま仏教が最も身近な宗教だったからである。
10年間、ひまを見つけては仏教書を読みつづけた。
いろいろ教えられることがあった。
たとえば人間みなこれ仏(ほとけ)であり、道端の一木一草もまた仏だという思いで見るべしという教えがある。
そこで朝、出勤時には道端の木石に「おはよう」といい、じいさん、ばあさんを見れば仏と感じるように心掛けた。
すると、あることに思い至った。
電車や公園で居眠りしているおじいさん、疲れてげんなりしているおばあさん、よだれを垂らし、目ヤニをため、しわくちゃの顔は、みにくいと思って見れば確かにみにくい。
特別会計制度とペーパレス計画の導入という大改革であるから、どうしても庁内のコンセンサスがいる。
時間はどんどんたっていくという具合である。
幸い一年近くコンセンサス形成に費して、ようやく間に合ったが、自分としては当初から不退転の決断をしていたから、うまく行ったのだと思う。
長官時代、逆にボトムアップ奨励の施策として考えて実行に移せなかったものに、QC制度の導入がある。
すなわち、QCの導入によって、ボトムアップによる庁内の活性化を考えたわけである。
残念ながら介護保険の提案は労働組合が受け入れるに至らず、時間切れとなって幻の提案となった。
この過程を通じて体験したことは、トップの優柔不断と並んで現状改革を妨害するのが、中間管理層の抵抗である。
「これまでこうやってきた」というのが、中間管理層の権威の基であり、拠って立つトリデなのだ。
現状を根本的に改革することは、この唯一のトリデを失うことを意味する。
理屈抜きで本能的に抵抗するわけである。
そのための理屈はいかようにもつけられる。
「制度の安定性が大切であり、法律改正は極めて慎重でなければいけない」などと。
ヒューマン・リレーションで介護保険が心掛けてきたことといえば、せいぜい人と話をする場合、とりわけ民間の重要人物の場合、その人がいま何に関心を持っているか、得意なものは何か、趣味は何かを知って、話題をそちらに持っていく、存分に相手にしゃべってもらうことぐらいであろう。
この方法は予期以上の効果のあることを身をもって体験してきたので、大いに省内の若い人たちにも奨めている。
ある介護観光タクシーの社長さん、ホームヘルパー2級の資格を持っていて、移動のお手伝いもしている、とのことだった。
いつも猛烈に忙しい人で、来客との面会時間も10分刻みという。
その人に一度、京都の話を聞いたら、こちらの聞く態度がよかったのか、秘書が3回も次のアポイントの催促に来るのをさえぎって、40分以上も機嫌よくしゃべってくれたのを思い出す。
京都では「夜間特別拝観」が増えてきて、出張の機会に「夜の京都」を見てみては如何ですか?と誘われた、とこの話を多少得意気に披露したら、くだんの代議士のお嬢さんは「そんなこと常識じゃございませんこと」とにベもなくいったものだ。
さすが政治家稼業は秘書まで常識が発達している。
世間の常識に通じていなければ政治家はつとまらないだろう。
役人の常識と世間の常識のギャップを知ると同時に、役人はいかに訓練されていないかを痛感した。
役人はそれでも勤まる稼業だから、ある意味でハッピーといえるかも知れないが、半面、いわゆる欠陥人間になり易いともいえる。
これはぜひ各自が自己啓発によって改善しなければならない面である。